突然想外異変
コレは夢なのでしょうか?
もしかして、立ったまま寝てるとか!?
やだ!
もしかして、妄想癖でフラフラしてるとか!?
それこそ、朝刊の1面じゃない!!
脳内パニックの中
「どうした?」
落ち着いた声での問い掛けに、驚き肩をを揺らし、
「池と鯉が無事で良かったです」
何時も以上に大きな声に、慌てている心が交ざり、
変な音での言葉にもかかわらず、
「そうか」
納得と一言を返す。
なぜ、私と手塚氏が並んで池を見てるのでしようか・・・
青く澄み切った空を見上げ、心の声で問い掛ける。
が返事が返る訳も無く、自分の中で答を導き出してゆく。
エレベーターに乗ったら、手塚家の池で溺れ、手塚氏に助けられ、
お風呂にご飯まで頂き、
身元不十分の存在である私を置いてくれると・・・・
なんて親切な方々なんだろう。
自分に起こった事なのに、当の本人が信じる事が出来ずにいる中、
親切にしてくれる。
隣に立つ手塚氏だってそうだ・・・
起こった事が本当かどうか確かめる為に、
何度も見てしまったが気を悪くするどころか、親切にしてくれてる。
隣に居る事が信じられず、両頬を摘み引っ張るが、
痛みがあり現実なのだと教えられるが、
それでも引っ張り捻ってみれば、
「痛めるだけだ、止めておけ」
両手を触り、ゆっくりと離してくれた。
優しい人肌
夢では無い事を実感させてくれた。
「あ・・あの・・・今日からお世話になります」
向き合い、深々と礼をすれば、
「あぁ」
頷きと一言が返って来た。
顔を上げれば、目が合い、気まずいさで何を話せば良いのか解らず、
「り、立派な錦鯉ですね」
池に顔を向け、しゃがみ込めば、上から視線を感じ、心の中で冷や汗が流れる。
いざ向き合うと、何を話せば言いのか解らない・・・
緊張し強張る体と愛想笑いが池に写り、視線を動かせば、
を見ている手塚の姿が写り、さらに体が強張り、
どうしよう!?
何か会話をしないと!
焦りが生まれるが、会話に発展する様な話題が見付からず、
優雅に泳ぐ鯉が視界に入り、
あぁ・・
鯉が美味しそう・・・
とんでも無い事が頭に浮かび、喉まで出掛けた瞬間、
言葉の意味を脳が理解し、息と一緒に飲み込んだ。
なんて事を言うつもりだったの!?
なんで鯉?
しかも、たった今、心配したばかりなのに!
心の中で消えない思い付きに頭を抱えたくなったが、
カチャ・・
何かが動いた小さな音が頭の上で聞こえ、顔と視線を上げれば、
手塚が眉間を摘んでいた。
目・・疲れたのかな?
薬のCMなどで良く見る眉間に手を当てた行動に、
この人は何をしても絵になるなぁ・・・
ぼんやり眺めていれば、手に持っていた眼鏡をかけた。
さっきの音は眼鏡を外した音だったのか。
納得し、
眼鏡無しでもカッコ良いけど、
やっぱり眼鏡ありの方がカッコ良いねぇ・・・
眺めていれば
「」
苗字を呼ばれ、眺めていた事への注意だと感じ、慌て立ち上がり、
「な・・何かな、手塚くん」
上擦った声で返事をすれば、
「の世界では、耳が生えるのか?」
真剣な表情の問い掛けに、意味が解らず、
「え?
ココにあるけど・・・」
髪を分け、耳たぶを引っ張り、手塚に見せるが、眉間にシワが寄り、
「じゃあ、コレはなんだ?」
腕を延ばしの頭の上を触れば、身を拒め、
「くすぐったいよ、手塚くん」
力を入れた体を解し苦笑すれば、掴まれる感触の後、痛みが走り、
「イタッ・・・引っ張らないで」
両手を頭の上に乗せ、イヤイヤと首を降る。
「感触はあるのか・・・
と言う事は、神経が通っていると言う事になるな・・・」
独り言の様に小さな声で作られた言葉に不思議に首を傾げれば、
溜め息を零し
「では、コレはなんなんだ?」
手首を捕まれ、頭の上に手の平を持っていかれ、
何かアル感触が手の平から前進に伝わる。
「なに・・コレ・・・?」
薄いモノ
でも、触っている感触が手とソレで伝わる。
恐怖と好奇心に導かれ、指を動かし形をなぞる。
三角・・・
首を傾げ、上からくる手塚の視線に困惑の視線を返せば、
「ネコの耳と言った所か・・・」
言葉と同時に耳だと言ったモノを触った。
「ネコ?」
くすぐったいのか猫の耳だと言うモノを左右に動かすが、
自分の言った言葉が理解出来ないのか、
暫く固まったままだったが、驚き、
「ね・・ネコって、動物でニャ〜て鳴くネコ!?」
驚いた勢いのまま手塚のむなぐらを掴み、問えば、
冷静な表情と視線でを見下ろし
「あぁ」
落ち着いた声と頷きで是と返す。
「なんで?なんで!?
この世界は何かが生える世界なの!?」
冷静な態度に一人感情の熱が上がり、声が荒くなり、
掴んだ手は力が加わり白くなり始める。
「落ち着け」
掴んでいる手の上から、手を乗せ力を抜く様に掴むが、
「なんで耳なんて生えるのよ!今までこんなコトなかった。
なんなの?
なんでこんなコトになるの!?」
握り締めた手は更に力が入れ、
疑問を問う言葉ばかりが手塚に繰替えすが、頬に痛みが走り
「少しは落ち着け」
上から降ってくる言葉に、握り締めていた手の力を抜き、
視線を手塚に合わせればパニックになっていた思考が無くなり、
真っ白で何も言葉が出てこなくなった。
「落ち着いたか?」
真っ直ぐに降ってくる視線に頷き、
「ごめんなさい・・・」
零れ落ちる言葉に、上から溜め息が聞こえ、
自分の態度に涙が出そうにり、下を向き、
数回瞬きを繰り返す。
最低だ・・私
自分の事なのに取り乱して、
その上、八つ当たりだなんて・・・・
冷静になれば成る程、自分の愚かさに落ち込みと涙が溢れ出るのを、
表に出さない様堪える。
互いにかける言葉は無く、春の冷たい風が木々を揺らし、
池に波紋を作る。
体に当たる風はしっかりと頭の上にあるモノにも当たり、
再び頭に手を当て感触を確かめた後、
池に向かって膝を付けば、水面に自分の顔が写った。
耳の上にあるモノ
手塚の言う通り猫の耳。
何も取り柄が無く、
どこにでも居る普通の女子高生で、
繰り返す平凡な生活を送っていた人間なのに・・
なぜ?
どうして?
繰り返される問い掛けに答が出る事も無く、
溜め息を付き自分の意志で動く耳を見つめ続ければ、
フッと体に違和感を感じた。
すっごく嫌な予感が・・する
顔を上げれば、手塚の渋面した表情に嫌な予感の確信と冷や汗が
背中に流れ、恐る恐る首を動かし腰から下を見れば、
黒くて細長いモノが生えていた。
まさか・・・
まさか、そんなコト・・・
ゴクリと唾液を飲み、全神経を集中して動かせて見れば、
意志と同じ様に動き、目に入った出来事を理解したくなく、
意識が闇へと落ちてゆく。
が、なんとか意志を持たし、現実に起こっている事を確認する。
耳が生えたんだから、当たり前なのかも知れないけど!!
でも、だからって・・
尻尾が生えるのはどうなの!?
叫びたい気持ちを押さえ付け、混乱する思考を頭と一緒に抱え込む。
あぁ・・日本瓦に沈み行く夕日が目に染みるよ・・
現実逃避しかける意識に空笑いし、
もう、ドウにでもなれ。
考える事に疲れ、立ち上がった瞬間、視界が降下する。
「!」
切迫くした声で名前を呼ばれるのを、冷静な意識で理解し、
名前・・呼ばれてるなぁ・・・
どこか他人事の様に思い、急速に変わった視界に周りを見渡し、
先程と同じ場所に居る事に安堵した。
「手塚くん」
切迫した声で呼ばれた事に対して、視界を上げ手塚の顔を見ようとするが、
上半身しか見えず、頭を上げれば眉間に皺を作り、
睨む様に見られていた。
「手塚くん?」
合った視線は外される事無く、数秒の時が何十分程の長さに
感じ気まずさを感じゆっくりと視線を外し、池へと向ければ、
水面に現れた影に驚き、目を見開く。
眼から入る情報が脳へと伝わり理解する瞬間、
パシャン・・・
錦鯉が池から跳ねた。
冷静から取り乱す瞬間に聞こえ、掻き乱す思考が動きを止め、
入って来た情報を冷静に理解した。
水面に映るのは、眉を潜め自分を見下ろしている、手塚
そして、
池を覗き込んでいる黒い猫は自分。
不思議な程、すんなりと心の中で理解が出来、納得した。
耳が生え尻尾もあれば次は身体だよね・・
身体の奥底から溜め息をし、池から空へと視線を上げ
藍色の空をバックに手塚を見、
「ゴメンね」
苦笑しながらの言葉に、
1度、目を閉じた後、
「何に対しての謝りだ?」
ゆっくり作られた言葉に曖昧な笑みで返せば、抱き上げられ、
地面に残ってしまった服を掴みかけるが、
「待って!」
手塚に抱かれ、膝を曲げ、動く腕を見ていたの声に手塚は動きを止め、
視線が合う、
「私が畳むから、手塚くんは後ろを向いてて」
腕の中から飛びおり、散らばる服を背に座り、
立ち上がり背中を向けたのを確認し、服へ手を伸ばした。
散らばる服を畳み、
服が脱げてると言う事は・・・私は今、裸と言う事だよね?
服と服の間に下着を入れ、畳んだモノを積み上げ、
「出来た・・・」
肩から息を落とし、視線を上げれば、
の言葉に従い後ろを向いたままでいた。
「ありがとう。手塚くん」
大きな背中に言葉を告げると、ゆっくりと振り返り、
に視線を向け膝を付いく。
ゆっくりと腕を延ばし、壊れ物を扱う様に、優しく腕に抱き上げられる。
本当に真面目なんだなぁ・・・
先程見た背中を思い出し、心の中で漏れる感想に、微笑み、
歩く振動に身体を揺らし、家へと入っていった。